アニサキス

こんな症状はありませんか？

魚介類の生食、あるいは火の通りが甘い焼魚を食べた後に

※上記の症状とともに蕁麻疹や呼吸困難などが現れることもあります

アニサキスとは？

アニサキスは寄生虫の一種で、魚介類の筋肉や内臓に潜んでいます。ヒトを宿主にはできませんが、生きたまま体内に入るとそのまま1週間程度生存することがあり、これによる食中毒症状を「アニサキス症」と言います。

時間経過でアニサキスが死滅し、体内から排出されれば自然と症状は治まりますが、アニサキス症の症状は激しい苦痛を伴うことも多いです。基本的に体内のアニサキスを取り除けば直ちに症状も治まりますので、アニサキス症が疑われる場合には消化器内科の受診をお勧めします。

魚介類の生食時には十分な注意を

アニサキスは魚介類（主にサバ・サケ・サンマなど）の筋肉や内臓に寄生しています。そのため、お刺身や火の通りが甘い焼き魚を食べた際の経口感染が主な感染経路となります。

アニサキスは「60℃以上で1分以上加熱する」、あるいは「マイナス20℃以下での24時間以上の冷凍する」で死滅させることができます。ご自身で釣った魚を新鮮なうちに生で食べたくなるお気持ちも分かりますが、調理する際は十分に注意しましょう。

アニサキス症とアニサキスアレルギー

アニサキスによる症状はアニサキス自体が引き起こしているものではなく、虫体に対する体のアレルギー反応だとされています。同じ食事を摂っていても発症の有無や症状の程度には個人差があるのはこのためです。

アレルギー反応が強い場合は、腹痛や吐き気・嘔吐などのアニサキス症の症状と同時に蕁麻疹や呼吸困難など（アナフィラキシーショック）を起こすこともあります。

的確なアニサキスの診断のために

アニサキスが疑われる場合に有効なのは、内視鏡検査（胃カメラ検査）で体内のアニサキスを直接確かめることです。胃カメラ検査によってアニサキスが確認されればアニサキス症と診断されます。

アニサキスは基本的に胃へ感染しますが、稀に胃を通り越して腸や消化管外への感染を起こすことがあります（それぞれ「腸アニサキス症」「消化管外アニサキス症」と言います）。この場合は胃カメラ検査での診断が難しいこともありますので、超音波内視鏡や大腸カメラを用いて検査を行います。

アニサキスの治療

体内のアニサキスが排除されれば、ほとんどの場合で症状はすぐに消失します。アニサキスの治療方法としては、「内視鏡を使って物理的に除去する」「薬で症状を抑えて自然な死滅を待つ」「駆虫薬（くちゅうやく）によって体外に排出する」などがあります。

アニサキスへの感染状況によってこれらの治療方法を選択しますが、基本的に胃への感染であれば、内視鏡で治療が可能な場合が多いです。アニサキスに対するアレルギー反応が強い場合には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などを使用することもあります。